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四月……それは出会いと別れの季節。
桜は満開に咲き誇り、散りゆく花びらが舞い踊る中、目を細めて空を見上げ、風情を楽しみつつも億劫そうに歩く少年が一人。
彼の名前は鷹片玲華、坂道の上に建つ『国立 史山学園』の二年生。
白いワイシャツの首部分を緩め、ネクタイも力なく、だらりと適当にまかれており、パッと見はあまり素行の良くない生徒に見える。
黒い髪をガシガシと掻き毟り、深い紺色のブレザーに枝毛が落ちるが、そんなことに気付かずに坂を上った。
国立史山学園、その名の通り国が建てた高校。
『なぜ国が』という理由は……現在の世界情勢が乱れ、どこの国も戦争まで一触即発という恐ろしい事態にあり、どこの国も戦力の拡大化を方針に掲げていた、そんな中でも『必要以上の戦力を保有しない』という路線の日本からすれば、土地面積でも人数でも圧倒的に不利。
そこで考えたのが、優秀な兵士を育てるべく世界各地から原石を招いて養成するシステム『兵士育成思想論』だ。
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