アリバイ

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        電話が繋がった。 私は力を振り絞り 『今までありがとう。』 とだけ言った。 『おう。じゃあな。』 やっぱりあなたが引き止めてくれるわけもなかった。 もう、本当にこれでさよならだ。 後悔だらけで 誰よりも一番あなたのことを愛しているのに。 誰よりもあなたを知っていると思っていたのに。 あなたが積み重ねたアリバイも、あの時の雨がこんなに晴れることも、あなたのことも。 何もかも分かっていなかったけど。 ただひとつだけわかることは もうすぐ私は泣くでしょう。        
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