ハナビラ

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        苦すぎるコーヒーに角砂糖をいれた。 マグカップの底にすぐに辿り着くその角砂糖はまるで僕みたいで 僕がきみに染まっていった速度を表しているかのようだ。 きみが好きで、好きで いつまでもきみからぬけだせない僕は 鍵穴が錆びて、もう一生外すことのできない手錠をかけられたような きみに依存しているんだな、とよく思った。 微笑む僕。 それほど悪い気はしなかった。        
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