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道は町までほぼ一本道であり、車がかろうじてすれ違える程度の広さしかない。
道の端から一歩向こうには山が広がっており、迂闊に入り込んだら戻ってこれるかどうかすら危うい。
特にこんな夜になると、一定の間隔で灯りがあるとは言え、その光は果てしなく広がる夜の闇色に負けてしまい所在なさげで何とも頼りない。
それでも、何もないよりは遥かにマシだ。
こんな山の中を、何の光も無しに歩く事は自殺行為に等しいのだから。
そういう意味では、きちんと灯りが着くように整備を怠っていない葦原町の役所に感謝すべきであろう。
飛鳥は、そんなことを考えながら歩いていた。
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