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「あうぅ………」
幽々子に敵意は無いこと感じ取った少女はまだ警戒しているものの、暴れるのを止めた。
「いい子ね。お名前を教えてくれるかしら?」
「………?」
幽々子の問いに対して少女は首を傾げた。
その様子を見ていた妖夢はあることに気がついた。
「幽々子様……その娘、言葉が分からないのではないでしょうか?」
「………私の言ってること分かる?」
「?」
少女に確認を取るも、再び首を傾げた。
言葉が分からないのは確実だろう。
「あら、困ったわねぇ………名前が無いのは不便だし………あ、付けちゃいましょ」
「まあ、いつまでもあの子だのこの子だのと呼ぶ訳にもいけませんしね。で、どんな名前に?」
「そうね、うーん………」
悩んだ末に少女を見るとそこには特徴的な爬虫類の尻尾が。
「あ、ヘビちゃんとか………」
「駄目です!」
「え、なんで?」
「女の子なんですからもっと可愛い名前にしましょうよ」
「うーん、じゃあ………」
幽々子は立ち上がり、窓から庭を覗き込む。
庭にはまだ花を咲かせていない桜の木が風に煽られ、枝を揺らしていた。
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