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「……あ、あはははは!何も起きないじゃねーか。ビックリしたぜ~、所詮、噂だもんなぁ…」
何事も無かった様に安堵する翼は、大声で笑った。隣で見守っている七夜に声を掛けようとした時に、ふと異変に気づく……周囲が、妙なのだ。居る場所もトイレだし、服装にも変わりはないが、何が引っ掛かる……おまけに居るはずの七夜がいない。
「七夜?隠れてねーで、出てこ……」
全部を言い終わらないうちに、翼は、異変に気付いた。
全てが反転しているのだ、腕時計の位置、パーカーのロゴも。
「な、何だよ!おい、七夜!」
半狂乱になった翼は、周囲を見渡すが、七夜は見当たらない。代わりに、正面にある鏡に違和感を感じた。
そこには、自分が居たのだ、笑っていない筈なのに、笑顔を向けて笑っている翼自身がいた。
「うわああああ!!」
もう沢山だった、夢なら醒めてくれと願ったが、その気配は無く、現実だと知らされる羽目になる。
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