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「なあ、翼」
「うん」
昼間の休み時間、仲が良い友人が声を掛けた。
「お前……左ききだったっけ?」
課題をやる翼の利き手を眺めながら、友人が不思議そうに尋ねた。
「なんか黒子の位置も違うような…」
「気のせいだろ?気にしてたら禿げるぞ」
翼は、課題から目を反らし、友人に目線をやると、イタズラっぽく笑う。
からかわれた友人は、マジかよ、とオーバーに叫びながら笑い出した。
その後、その話題を気にする事も無く、次は、好きなアイドルの話を翼に聞かせたのだった。
「些細な疑問に気づいても、深くは追求しないんだよね」
廊下側の窓から、翼らのやり取りを眺めながら、黒髪に学ランの少年が呟く。
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