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「入れ替わっても、簡単には気付かない。だって、自分だからね。反転してる以外は」
クスクスと笑いながら、七夜は、廊下の端にある男子トイレに目線をやった。
鏡の中では、今も声を枯らしながら、翼が叫んでいるだろうと考え、七夜は、目を細めた。
「好奇心は大事だけど、時には後悔する羽目になるんだよね……。ま、楽しかったからいいか」
ブツブツと呟く七夜を見る者は、誰もいない。
そこには、誰も居ないかの様に、七夜の姿は、見えないし、聞こえないようだ。
「次は、どんな子が僕と出会うのかなぁ」
愉快そうに呟くと、七夜は、軽い足取りで歩きながら、廊下を進み、やがて姿は、溶ける様に消えたのだった。
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