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「翼くん、バイバイ」
「おう!」
教室で眉に皺を寄せながら、プリントをしている翼は、クラスメートの子が手を振りながら、教室を出るのを見送った。
「先生もヒドイよな。五分遅刻したからって、一人だけプリントさすなんてよ…」
一人、残された教室は、いつもより寂しく、静かで不気味に思えた。翼は、頭を掻きながら、プリントを睨み付ける。計算問題を解きながら、翼は、時々、ぶつくさと文句を言っていたが、ふと視線を感じ、目線をやる。
「何してるの?」
いつの間に、居たのか、目の前には、学ランを着た少年が居た。 サラサラとした黒髪に大きな目、白い肌のなかなか可愛らしい顔立ちをしている。
(女みてぇだな……コイツ。つか、誰だ?)
素直な感想を思い浮かべる翼は、改めて、少年を見た。
クラスメートでは無い、他のクラスかなと考える。
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