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「ねぇ。聞いているの?」
再び、少年が翼に話し掛けてきた為に、翼は考えるのを止めた。
「悪い。遅刻したペナルティだよ。数学のプリントやってんだ」
「ふうん……面白いの?」
「んな訳ねぇだろ……がり勉でもないしよ」
翼は、うんざりした表情で言うと、目の前の少年がニンマリと笑った。小さな子供がイタズラを思いついた時のような、だ。
「こんなのより、もっと面白いやつあるよ」
「へ、何だ?」
好奇心が擽られた翼は、シャーペンを投げ出し、少年に迫る。
「ねぇ、こんな噂を知っている?二階にある男子トイレにある鏡の噂」
「ああ、深夜零時に鏡の前に立つと、鏡に映るもう一人の自分と入れ替わるってやつだろ」
翼は、友人から聞いた怪談を口にした。学校に伝わる幾つかの不思議の一つだ。
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