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「ねぇ、確かめたいとは思わない?」
少年が、まっすぐと見つめながら、翼の様子を窺った。
翼は、暫く考えたが、やがて、ニヤリと笑いを見せた。
「いいじゃん!やろうぜ!面白そうだし」
「なら、夜の8時に校門で待ち合わせだよ?」
蠱惑的な笑みを浮かべ、少年が言う。
「高垣!」
ふと、聞きなれた声がし、振り替えれば、担任が仁王立ちをして、睨んでいた。
同時に翼の顔から血の気がひく。
「居眠りとは余裕だな。当然、プリントはできたんだろうなぁ?」
「う……」
居眠りをした覚えはなかったが、担任の怒り様から、下手に口を開けば、お説教コースは、免れないと察し、素直にプリントを差し出す。
担任は、プリントを受け取ると、それを眺めた。
「ちゃんと出来てるじゃないか!間違いもないし……やれば、出来るじゃないか、見直したぞ!」
翼の頭をぐしゃぐしゃと撫で、担任は笑顔を向けた。
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