プロローグ

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気がつくと私は外にいた。 夜。ちょっぴり小高い丘の上。月明かりが眩しいくらいにあたりを照らしている。 先を見ると、大きな桜の木がぽつんと立っていた。月明かりはその桜を優し照らし、何とも言えない風情を醸し出している。 周りには何もない。夜だからだろうか?いや……、今夜は見たとおり見事なまでの満月。 これほどならば大抵のものがその明かりを借り、"自分はここにいる"と主張し、独自の存在感を見せてくれそうなのだが…… 私は何か他にないものかと、キョロキョロと見渡したが特には見つからなかった。 どうやら本当に桜の木以外は何もないらしい。 ふと、桜を見つめる。 大きな桜の木……なんとなく私はこの場所に見覚えがあった。どこでだろうか?以前ここに来たことがある気がする。でも……思い出すことが出来ない。
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