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少し疑問を感じてしまった日から月日がたち、テストが近付いてきた。
うちは、いつの間にか斎藤君を下の名前から「きょうちゃん」と呼ぶようになっていた。
「鸞、帰るぞ」
「うん」
サラリーマンのような学校指定の黒い皮の鞄に教科書を詰め込む。
「……なあ、鸞って教科書毎日持って帰ってるの?」
「え?
持って帰らないの?」
そういえば、きょうちゃんの鞄は、えらく薄いような…。
「なんか鞄の幅が倍くらい違うぞ。
すっごいパンパンになってる……」
「……………」
「貸してみ?」
きょうちゃんが、うちの鞄を片手で持つ。
「重っ!!(笑)
バーベル並みだ…。
何キロあるんだ、これ」
「………………」
「ロッカーに少し教科書置いて帰れば?
で、宿題やテスト勉強に必要な分だけ持ち帰れば?」
「うん」
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