プロローグ「終劇のあとで」

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 まるで追われるように駆け抜けた日々はもう返ってこない。  最後に一度だけ振り返ると、病室の窓から彼女がこちらを見つめているのに気がついた。ここからでは表情までは見えない。  あの場所から彼女は何を見ているのだろうか。  きっと、あの日からの彼女とは違うものを映しているのは違いない。  僕は歩き出す。もう二度と振り返ることはなかった。
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