第一夜「開かずの扉」

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 僕が導いたその答えが広まるにつれ、開かずの扉の話も徐々に下火になっていったようだ。 「絶対なんかあると思ったんですけどね。はぁ、そう簡単にはいかないんですね」 「そうたくさん怖い話が転がってたらたまったもんじゃないよ。まぁ、真実を知らなければ未だにあの学校では噂になってたかもね」  有希は僕の家に来る度にその話をするが、好奇心から僕に解決を頼んだのだから自業自得と言わざるを得ない。  だが、実はこの話には続きがある。扉を前にしたときの違和感の正体とも言える。  あのあと、裏付けを取る意味もかねて僕はあの学校で改装工事があったのかを調べてみた。すると一つの事実が分かったのだった。  あの学校では改装工事は行われておらず、どころか設立自体十年かそこらしか経っていないのだ。  つまり、あの学校が出来た当初から開かずの扉はずっと開かずの扉のままだということ。誰が何の目的であんな場所に扉を設置したのか、そしてあの向こうに何があるのかは分からない。もしかしたらとんでもない悪意と共に何かがその扉を開けるのを待っているのかもしれない。
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