Turn 1 午後の風の中で

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おいおい。 「何か用があって声かけたんでしょ?」 と言えば、翠は行方を振り返り、にぱっと笑う。 「ゆっくん、何だっけ?」 行方はヤレヤレ、といった感じで、おもむろに私の胸の辺りを指差した。 「それ」 それって何よ! どうせ無いわよ、悪かったわね、失礼な! 斬ってやろうかと思った瞬間、 「あー!そうそう、あのね!」 翠が叫んだ。 「何なの……」 「アイラちゃんがいつも持ってる写真の黒髪の女の人、誰かなぁと思ったの」 行方が指差したのは、私が抱えていた手帳だった。 翠の言う写真は、いつもこの手帳に挟まっていた。
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