783人が本棚に入れています
本棚に追加
/269ページ
お玉ちゃんに先導されてお万の寝室へ向かうと、てっきり寝ていると思っていたお万は布団の横にお行儀よく座り、
「お玉さま、わざわざのお見舞い恐れ入ります。見苦しいところをお目にかけ、申し訳ありませぬ」
と、深々と頭を下げるじゃないの。
「お万さま、起き上がって大丈夫なの? …ですか?」
「ええ、今朝から加減がよろしいので」
よく見ると、目の下にうっすらとクマができていて、だけどそのクマさえも黒木メイサ似の美貌をさらに美しく見せている。
そういえば、黒木メイサも赤西とデキちゃった結婚したんだっけ…とか、どうでもいいことを思い出しつつ、こちらも正座して頭を下げる。
「この度は、おめでとうございます。同じ側室として…とはいってもあたしはまだ本当の側室にはなっていないけど…お喜び申し上げます」
「ありがとうございます。まだ内密に、と思っておりましたのに、玉が不用意に漏らしたようで、お恥ずかしい限りにございます」
最初のコメントを投稿しよう!