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「それはおめでとうございます。一生懸命に仕えてきたお玉ちゃんの苦労が報われたのね」
「滅相もございません!」
「ううん、そうだと思うよ。なんたってお玉ちゃんは、いつもお万さまを第一に考えてきたわけでしょ。奥女中の鏡だわ!」
…どうしてあたしったら、心にもないことをすらすらと口に出せるんだろうか。
さっきの景弘くんへの作戦といい、自分にこんな演技力があるなんて、気づかなかったわー。
あっちに戻ったら、女優を目指そうかしら。
「そのお玉ちゃんなら、直接お万さまにお会いしてお祝いを言いたいあたしの気持ち、わかってくれるでしょう?」
「…少々お待ちくださいませ、お万の方さまに尋ねて参ります」
あたしに言いくるめられたお玉ちゃんが下がり、しばしのちに面会の許可が出た。
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