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「バカじゃないの、お梅。里沙ちゃんは景弘くんを好きなんだよ、なのに…」
「馬鹿なのはそなたのほうじゃ! 下っ端役人と上様、どちらと添うのがおなごとして幸せか、考えずともわかるであろう! しかもお里沙には、よからぬ噂が出ておるのじゃ。なれど、さっさと側室になり、お世継ぎをもうければそのような噂など消え失せてしまう」
ああ、お梅の思考回路では“恋”なんてものには何の価値もないんだった。
でも、あたしは違う。
「好きな人がいる子を、強引に別の人とくっつけるなんて、誰が許してもあたしが許さない! ね、志乃ちゃんもそう思うでしょ!?」
「お蘭…そなたの気持ちもわからぬではないが、ここはお里沙どののためにも、献上をお受けするしかないであろう」
お梅はともかく、志乃ちゃんまで、なんてこと言うのよ…。
「なぁ、お里沙どの。聞き分けてくれるな?」
「そうじゃ、お里沙。おなごとしての栄華を極めてこそ、奥にあがった意味があるのじゃぞ」
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