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そうだった、お梅はどうしようもないヤツだけど、情にもろいところもあるんだった。
そしてそのお梅が「なんとかする」と言うからには、きっと里沙ちゃんの献上話もうまくもみ消してくれるに違いない。
「ありがとう、お梅」
「ふん、そなたに礼など言われると、気持ちが悪いわ」
かつて大奥一の美貌を誇り、側室になることを願ってやまなかった、お梅。
だけど、ここでは30歳を過ぎた女に価値はなく、どんなに頑張っても、もう願いがかなう日は来ないんだね。
「ありがとうございます、常磐井さま」
精一杯肩をそびやかして部屋を出て行くお梅の後ろ姿に、あたしはもう一度、頭を下げた。
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