10 対決前夜

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そもそも上様はあたしのことをこの世の者ではないというふうに理解していて、だからあたしが12年経ってもあんまりトシをとってなかろうが、こっちふうの文を読み書きできなかろうが「ま、そういうこともあるだろう」って思ってるらしい。 大物っていえばそうなんだけど、いくらなんでも飲み込みがよすぎて心配になっちゃう。 この人、こんなふうでちゃんと政治とかできるんだろうか? でも『あたしのこと、どのくらい好き?』って送ると、すぐに『地から天までほどに』なーんて、ロマンチックな返信をすぐくれるあたりは、かわいい。うふふ。 送信から返信までの時間は、愛のバロメーターよねぇ。 そもそも、平成の男子にはこんなシャレた手紙なんて書けないっしょ。 ま、そんなことは置いといて、ようするにあたしはのんきに生活しているように見えて、けっこういろんなことをつかんでいたの。
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