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部屋に戻っても、芯まで凍えた身体はなかなか暖まらず、温石(おんじゃく・熱くした石を布で包んだもの)をいくつもお布団に入れてもらって、ようやく人心地がついた。
「結衣ちゃん、里沙ちゃん、寝ちゃった?」
ぬくぬくのお布団から顔を出して、声をかける。
最初の物の怪事件以来、うちの部屋では3人仲よく枕を並べて寝るのが恒例となっていた。
「いかがなさいました?」
「何か御用ですか?」
ふたりが身を起こす気配がする。
「あ、いいよ、起きなくて。別に用じゃないから。あのさぁ…ふたりはあたしなんかの部屋子になったこと、後悔してない?」
「何をおっしゃいますか。わたくしはお楽さま…いえ、あえてこう呼ばせていただきますわ、お蘭さまにお仕えできたこと、この上もなく幸せだと思うております。なぁ、お結衣どの?」
「さようでございますとも」
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