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「でもそれはお玉ちゃんのせいじゃないでしょ」
「いいえ、わたしのせいなのです! ああ、お万さまに申し訳ない」
しくしくと泣き続けるお玉ちゃんからはもうこれ以上聞き出せることはなさそうなので、ちょうど手当が終わったらしいお万の側へ足を進める。
「ああ、お楽さま、このような夜更けにお騒がせして申し訳ありませぬ」
「いいのよ。で、だいじょうぶなの?」
「はい、少しばかり足首が腫れておりますがたいしたことはありません。どうかお引き取りになってお休みくださいませ」
「あの…」
とあたしは声をひそめ、
「お玉ちゃんから聞いたけど、物の怪が出るんですって?」
「ええ、そうですね。きっとあれは物の怪なのでしょう」
物の怪と言いながらちっとも怯えた素振りがない、お万。
なんか、お玉ちゃんが言ってることと微妙に違うんだけど。
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