10 対決前夜

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「お楽さまのところへも、物の怪はやって来ますか?」 「いえ、今のところはまだ」 「そうですか…」 「でも。あたしは明日…っていうか、もう今日ですね、とにかく上様の御寝所に召されることになっています。だから、きっと物の怪はやって来る。そこであたしは物の怪をやっつけようと思っています」 「怖くはないのですか?」 「どうでしょう。やっぱりちょっとは怖いかな。でも、それができるのはきっと、あたしだけだと思うから」 「わかりました。お楽さまならおできになる気がいたします。…物の怪退治を」 すっとお万は視線をあげ、あたしの目を見つめた。 「頼みますよ、お楽さま」 いつの間にかうっすらと外が明るくなっていて、長い長い“対決前夜”が、ようやく明けようとしていた。
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