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「久しいの、楽。息災であったか?」
「はい、上様…と言いたいところですが、上様にお会いできない日々は寂しくて、病になりそうでしたわ」
「かわいいことを申すなぁ、楽は。どれ、もそっと近う寄れ」
「はい、上様!」
ずずずいと膝でにじり寄ると上様は両手を広げてあたしを抱き留め、
「おお、楽よ。会いたかったぞ」
と、感極まった様子で言う。
「あたくしもですわ、上様」
ひしと抱き合う、ふたり。
その耳元で上様がささやく。
「蘭、そのような声では物の怪に聞こえぬぞ」
「そっかな」
「もっと大きな声を出さねば」
「…じゃ…。あたくしも会いたくてたまりませんでしたわ?! 上様ぁぁ!!」
「よし、その調子じゃ」
「楽は、一日も早く、上様の赤ちゃんを生みたいでーす!」
あら、ちょっとやり過ぎかしら? と上様のリアクションをうかがうと、思いほかマジな表情で、
「まことか?」
なんて言うから、照れるじゃないのよ、もぉ。
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