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お梅が、思わずお玉の肩を押さえていた手を引っこめる。
しかしお玉は逃げようするわけでもなく、
「だけど、大事には至らなかったではありませんか」
挑むようにあたしをにらみつけた。
「ふーん。ってことは認めるんだね、あんたがわざとやったって」
「だって、もしも生まれるのがお世継ぎであったら、上様は新たな側室をお望みにはならないかもしれない。それでは、わたしの出る幕は一生訪れない!」
お玉の赤裸々な告白に、里沙ちゃんたちはもちろん、さすがのお梅も言葉を失い、呆然と立ち尽くしている。
そこへ…。
「語るに落ちるとはこのことじゃな、お玉!」
ひときわよく通る声が、静まりかえった御小座敷に響きわたった。
こ、この声はまさか…。
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