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私と祐輔の出会いはごくごく平凡で、それでも引っ込み思案な私にとっては大切な一瞬だった。
--------4月--------
「山内!!おい、授業中に寝るんじゃない!」
うちの学校でうわさでは一番恐いと恐れられている吉良先生の怒号が机に突っ伏している一人の男子生徒に向けられた。
怒られた山内くん(というのだろう男子生徒)はのろのろと顔をあげ教師を見た。
まだ入学したばっかりなのに度胸あるなぁ…あれ?よく見るとあの人顔色が…
私がそう思っているといきなりバターンッと大きな音がして山内くんが横へ倒れた。クラスの女子の悲鳴が教室に響き、ざわざわと騒がしくなった。かくゆう私もこういったことは苦手でフイと目を明後日の方向へと遣った。
吉良先生も慌てたようすで
「保健委員!!保健委員いるんだろ!?山内を保健室へ連れていけ!」
保健委員…って私!?参ったなぁ、じゃんけんで負けるんじゃなかった…
私はおずおずと手を挙げ、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で
「あの、わたし…その…ほ…保健…」
わたしたちの席は出席番号順で座っている。そのため私の席は真ん中だったためすぐに気付かれ、保健室へ連れていくよう指示された。
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