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「また、アイツの夢、か……」
目が覚めたアラトは一人呟く。
夢。ここ最近、といってもパラシアに来る前だが、よく幼馴染みと過ごした記憶が夢に出てくることが多くなっていた。 それはこのパラシアに来ても変わらないようだ。
寮の部屋は普通のアパートとあまり変わらない。彼が今いる寝室にリビング、そしてバスルームといった何ら元の世界と変わりない造り。
特に困るようなこともなく昨夜は就寝に至った。
アラトは一度欠伸をするとベッドから出て洗面所へ向かう。歯ブラシ、歯みがき粉完備。さらにバスルームにはボディソープにシャンプー、リンス。
「……ホテルと勘違いしそうだ」
寮生一人のためにここまでやるのか、と思いながら歯を磨き始めるアラト。むしろここまで元の世界と一緒なことにも驚かされる。
そこで扉を叩く音が聞こえてきた。
「アラト君、起きてますかー?」
ミスティの声が聞こえると、うがいをして口の中の歯みがき粉を洗い流し、アラトは玄関へと向かった。
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