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「確かにそうだけどさ。プライベートって物が……って何勝手に入ってきてんだよ?」
「アラトぉ、この部屋はどうだ?」
アラトの言葉など聞かずに違う質問を尋ねてきた。
やっぱりいい加減な奴だ、とアラトは心のなかで呟く。
「どうだって……何が?」
使い心地に関しては全く問題ない。むしろ贅沢なほどの設備だ。
確かに置かれている道具で使い方がわからない物もあるが、そこまで不便には感じないだろう。 しかし、アラトの予想とは異なった質問が返ってくる。
「お前……幽霊って信じるか?」
「幽、霊?ゴースト?」
「ああ。それだそれ」
アラトはクリードが頷くとデシャビュを感じた。
少し前にも同じ様に誰かに聞かれた気がする。
(……で、この先がなんとなく予想できる気がするんだよな)
「まさか、誰かがこの寮で亡くなってその幽霊がまだここをさ迷っててどこかの使われていない部屋に住み着いているとかそういう話……じゃあ、ないよな?」
「…………何で知ってるんだ?」
「……え?なに、マジ?」
「ウソ」
「…………」
「なんだなんだぁ?まさか本気にしてたのかぁ?
ギャハハハ!いるわけねぇだろそんな幽霊なんてよ!」
こんなわけで新世界二日目は最悪なコンディションでスタートした。
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