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「なんで私……こんなにドキドキしてるんだろ」
そのまま自分の部屋まで入ると、扉に背を預けて座り込む。
ふとその時、机の上の熊のぬいぐるみが目に入った。
少女はそれを抱き寄せて顔を埋める。
「これ……去年新斗君が私にプレゼントしてくれたやつだ」
1年間で何度も抱きついてるため大分萎れてしまった。
しかし、そんなものでも大切なものには代わりはない。世界でたった一つだけの宝物なのだ。
そして、彼女にはもう一つ、大切なものがあった。
「……どうすればいいのかなぁ」
制服の胸元から取り出したのは青い透き通った石の欠片、を鎖に繋いでペンダントにしたものだった。
それは薄い光を放ってるように見え、とても綺麗だ。
「強く願えば、必ずそれは叶うから……」
石を見つめながら少女は小さく呟いた。
「お母さん……私それでもやっぱり、怖いよ」
瞳を閉じると浮かんでくるのは彼の顔。
そして、聞こえてくるのは優しい母の声。昔に言われたことが今も耳に残っていているのだ。
普段は元気付けられてきた言葉だが、今は項垂れる理由となっていた。
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