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結局、5月の最後の日は何もせずに終わってしまった。
6月1日。
今日は一年でもっともおめでたい日であるといっても過言ではない。
「これで私と新斗君は17歳かぁ」
二人の誕生日。一年に一度だけの祝祭日。
「行ってきまーす」
そんな日に寝坊なんてしていられない。
少女はそう意気込んでたため、いつもよりも早く家を出られた。
「ふふふ。今日は新斗君よりも先に行け――」
笑顔で玄関の扉を開けると、そこには予想外にも既に少年の姿があった。
「――るよね……って新斗君!? どうして!?」
流石に少女も驚きを隠せない。
その反応に少年は不敵に笑う。
「どうして?俺がここにいたら悪いのか?」
「えっ?あっ、そうじゃなくて!どうしてもういるの!?」
すると、今度は少年の方が狼狽え始めた。
「べ、別に……理由は、ない」
「えー?なんか怪しーい」
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