20人が本棚に入れています
本棚に追加
基本、上岡は頼まれたら嫌とは言えない性格だった。だが今回ばかりは流石の上岡も素直に首を縦に降ることは出来ずにいた。
「拘束って……何だよそれ。何でそんな物騒な事をしなきゃいけないんだよ」
「アンタの能力じゃないと太刀打ち出来ない」
絶対中断ではないと太刀打ち出来ない。その言葉が逆に恐怖心を煽った。絶対中断───如何なる力も能力者の意思で中断する能力。そんな能力でないと太刀打ちすらも出来ないとなると相手の能力がどれほどなのかが解らない。
「その男の能力とか把握出来てんのか?」
「当たり前よ。……えーと…あったあった。…時間を止める能力だって」
時間を止める。よくアニメ等で結構強いポジションにいる敵が持っている能力だろう。簡単に言うと相手が止まっている状態で自分は自由に動けることが可能になったりする。
「(…だが実際不可能じゃないか?時間を止めるなんて)」
「時間を止めるなんて有り得ないと思ってる?」
上岡の信じていないような顔を見てそう思ったのだろうが、少なくとも上岡は有り得ないと思っていた。
「実際に零課が調査しに行ったのよ。その男の元へね。そしたら調査員全員見るも無惨な姿で『殺されちゃっててさ』」
「んで記憶映写【メモリアルビデオ】がぐっちゃぐちゃの脳の肉片からぐっちゃぐちゃな映像を解析した結果……男が急に消えたり現れたりしてそれは酷いグロ動画でしたっていう訳」
「……お前の言い方は気に入らんがまぁいい。それを聞いた感想としては只の瞬間移動【テレポート】か空間移動【スペースチェンジ】としか思えんのだが」
最初のコメントを投稿しよう!