一章

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「兄貴、水ですよ」 と舎弟の男が云った。 名を白木順一と云う。 「おう、パケ取れよ」 そう云ったのは、兄貴分で、名は米山了と云った。 白木が、自分のdunhillのセカンドバッグを引き寄せると、中から透明な袋を取り出した。 多さは5センチ四方だった 米山がその袋を受け取った。 中には、乳白色の結晶が入っていた。 明らかにジャブ(覚醒剤)であった。 しかも上物であろう。 白木は同時に、やはりバッグから、硝子製の1ccポンプ(注射器)もとりだす。 米山が、スプーンを少し曲げて、丸い所にジャブを入れた。 量は、普通の者から見たら非常に多かった。 二人とも、かなりの常習者と見てとれる。 「ポンプ」 と米山。 白木は、サッと素早く米山にポンプをて渡す。 針は既に付いていた。 太さは、色々だか、常習者は四分の一を使うが、米山は、五分の一しか使わなかったのだ。 なぜなら、針が細くて、注射痕が目立たないからである。 しかし、針が細い分、常習者のドロドロの血液は、詰まりやすかったのだ。 しかし、米山は、針が詰まるのは、腕が悪いのだと思っていたのだ。 なぜなら、今まで、米山は、一度も針を詰まらせた事はなかったのだ。
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