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「兄貴、水ですよ」
と舎弟の男が云った。
名を白木順一と云う。
「おう、パケ取れよ」
そう云ったのは、兄貴分で、名は米山了と云った。
白木が、自分のdunhillのセカンドバッグを引き寄せると、中から透明な袋を取り出した。
多さは5センチ四方だった
米山がその袋を受け取った。
中には、乳白色の結晶が入っていた。
明らかにジャブ(覚醒剤)であった。
しかも上物であろう。
白木は同時に、やはりバッグから、硝子製の1ccポンプ(注射器)もとりだす。
米山が、スプーンを少し曲げて、丸い所にジャブを入れた。
量は、普通の者から見たら非常に多かった。
二人とも、かなりの常習者と見てとれる。
「ポンプ」
と米山。
白木は、サッと素早く米山にポンプをて渡す。
針は既に付いていた。
太さは、色々だか、常習者は四分の一を使うが、米山は、五分の一しか使わなかったのだ。
なぜなら、針が細くて、注射痕が目立たないからである。
しかし、針が細い分、常習者のドロドロの血液は、詰まりやすかったのだ。
しかし、米山は、針が詰まるのは、腕が悪いのだと思っていたのだ。
なぜなら、今まで、米山は、一度も針を詰まらせた事はなかったのだ。
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