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米山が、ポンプで水を吸い上げてから、スプーンにたらした。
質のよいシャブは直ぐに溶ける。
米山が、針をはずしたポンプで、スプーンに垂らした水を、吸ったり出したりを繰り返すと、スプーンの中の水は、油のようにギトギトとしたものに変わった。
これは、シャブの分量が多い証拠である。
米山が、再びポンプに針をつけ
「先にやるぞ」
と云ってから、自分の左腕の静脈に針を突き刺した。
一度引くと、ポンプの中に血液が流れ込んだ。
血管に刺さった証拠である。
米山が、ゆっくりと、そして慎重に、右手だけを使いシャブを血管に送り込む。
背中に冷たいものがサッと走る。
米山の顔がやや青ざめてくる。
血管に直接なので、回りが早いのだ。
血管が焼ける様に熱いのも、シャブが濃い証拠なのだ。
米山がポンプを抜くと白木に手渡す。
白木は素早く、コップの水を使い、ポンプを綺麗に洗った。
他人の血液が身体に入るのは好ましくない。
寒気が走るし、血液に、病気の元になるものが入っていたら大変だからだ。
最近で云えば、エイズや肝炎がそうである。
しかし、水でいくら洗っても、大した変わりはないのだ。
やはり熱で消毒しなければ、菌は死なない。
だが、あまりそこまでやる者はいなかった。
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