一章

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白木が、洗い終えたポンプに、今度は自分の分のシャブを吸い込み、近くにあったタオルを使い、左腕を縛った。 血管が浮き出る。 白木も、やはり左手だけを使い、上手に血管へシャブを打ち込んだ。 使い終わったポンプは、綺麗に洗っておく。 白木が、ティッシュを使い、ポンプを包んで、セカンドバッグにしまった。 もちろんシャブも一緒にだ。 米山と白木は、すでに覚醒剤を始めてか、五年になる。 五年といったら、立派な常用者だ。 今だに、一度も捕まった事が無いのは、運がいいと言う他ないが、米山達は、けして他人の前ではシャブは射たなかった。 その点は慎重なのである。 小売も、けしてしなかった。 確かに小売は儲かる。 しかし、その分ヤバくなるわけだ。 一人にチンコロされれば終わりだからだ。 自分で使用してなければ、一対一なら、 「知らない」 で通せば、20日で釈放になるだろう。 しかし、使用していれば、逮捕時に、尿を採取されるので、必ず使用で逮捕される事になるのだ。 この、米山が借りているマンションにも、かなり親しい者以外は呼ばなかった。 だから、客のほとんどが、米山達が、どこに住んでいるか知らないのだ。 また知らせる必要もなかった。 白木がゴソゴソと、何やら木箱を取り出して来た。 この中には、刺青用の機械と、道具一式が入っているのだ。 シャブを射つと、人によって色々と違った表れ方があるのだ。 特に、アンナカが多いシャブを射つと、セックスがしたくなる。 また、気が弱い奴は、誰かに追われたり、陰口を云われたりしている気になるのだ。 そして、必ず何かに熱中するのだ。 白木は、特に刺青の機械をいじりたくなるのだった。
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