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「あーあ…退屈だよなぁ…」
七月上旬。
夏休みを目前にひかえた時期の、とある授業の最中。俺の隣の席に座る男、北本は呟いた。
こいつとは中学からの付き合いだが、こういうところは変わっていない。
「何が」
黒板の文字をノートに書き写しながら、俺は答える。
「何がってお前…この授業がだよ」
「はぁ?」
北本に視線を移すと、教科書やノートは開いているものの、ところどころしか写されていない。
「お前…この授業が退屈なんてよく言えるよな…。この学校で一番書く量多いって噂の浜野の授業だぞ」
「だから退屈なんだろ?文字書くばっかでつまんねぇ…。ふわぁぁ…眠くなってきたな…。森下、あとでノート写さして…。俺、寝るわ」
「え、あ、おい!…マジで寝たのか…」
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