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一つため息を吐くと、すぐに書くのを再開する。そうじゃないと追いつかない。
ここは私立冬桜(とうおう)高校。その名の由来は、文字通り冬に咲く桜が関係している。
それはこの学校のシンボル的な存在で、正門前にも何本か生えており、毎年綺麗な花を咲かせている。
だけどこの桜の評判はあまりよくない。桜は春の風物詩だとか、咲く季節を間違えてるとか、ひどい言われようだ。
そんな学校の三年六組に、俺たちはいる。早い奴はもう進路も決まり始め、それに向かって突き進んでいる。
だけどもうすぐ夏休みということもあって、この頃はみんな浮かれ気分だ。
「くぉらぁ!北本ぉ!なにを寝とるかぁ!」
「うわわっ!」
北本が慌てて飛び起きると、教室の中は笑いに包まれた。
俺はひとしきり笑って、窓の外に目をやった。太陽光がジリジリとアスファルトを照りつけている。
あぁ、今日もまた、暑くなりそうだ…。
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