出逢イハ必然ニ

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気づいた時には 私は既に誰かの背中の上だった 「ん…?」 ゆっくりと目を開けると そこは見たことのない 町並みが広がっていた 「目覚めた?」 私を背負う男が 声をかけてきた 「あっはい!」 私は反射的に返事を返す 「よかった。ずっと目を覚まさないから死んじゃったかと思ってた」 ふふふと笑いながら 男は話を続けた 「君、安曇弥生ちゃん…だよね?」 なぜ私の名前を 知っているのか 疑問に思ったが 私は素直に頷いた 「よかった。間違えてたら大変だからね」 「あの…貴方は?」 道を歩く彼の背中に 揺られながら私は尋ねた 「僕?僕は沖田総司。んで、後ろにいるのが鬼副長の土方さんだよ」 「おい、何か言ったか総司」 と、私は後ろを振り返る するとそこには あの時私を狼士から 救ってくれた役者顔の男が 歩いていた そして私はあることを 思い出した 「土方…歳三…」 「よくわかったね。土方さん有名人じゃないですか」 相変わらず沖田さんは 楽しそうに喋る 「土方歳三って最近新しく幕府の元に作られた新撰組の副長の…」 私は背筋が凍りつくのを感じた
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