第一章

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ある日曜日、竹村は池袋の客宅での商談を終え会社への帰り道を急いでいた。 「ヤバい、長引いた」 「1時からの契約に間に合わねぇかもな…」 こんな時に限って渋滞しているものである。 チラチラとBVLGARIの腕時計を見ながら、前方の信号が青に変わるのを待つ。 前には車が1台。 青になった。 前の車が進み出すのを見て、竹村もアクセルに足をかけた。 と、ふいに前の車が急ブレーキをかけた。 竹村も慌ててブレーキを踏む。 が、間に合わない。 《ゴンッ》 「げっ……」 「やっちまった…」
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