プロローグ

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蒸し暑い東京の夏。 午前中だが気温はすでに35℃を超えていた。 三軒茶屋からほど近い環七(環状七号線)沿いの歩道を一人の警官が歩いていた。 小さな月極駐車場の前で足を止めると、左手に持った資料を確認する。 一番角に停まっているシルバーのマーチに近づき、再度資料を確認。 車のナンバーが資料と一致したことを携帯で署に連絡し、ため息をついた。 近くの歩道橋を渡り、通りから少し奥まった位置にある一軒の小さなアパート。 二階の角部屋のドアの前に立って、額の汗を拭う。 (素直に認めてくれれば楽なんだけどな…) 深呼吸をしてからインターホンを鳴らす。 (そう簡単にいけば苦労しねーか…)
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