第一章

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結局竹村は講習を受けず、警察署に赴き免許証を預けた。 免停となった身である。 当然車の運転はできない。 …が、車なしで不動産の営業などできるはずがない。 竹村はなに食わぬ顔でいつも通りの生活を続けた。 無免許運転。 犯罪である。 竹村は営業の中で身に付けた運転テクニックに絶対の自信を持っていた。 心配する部下たちに 「事故りさえしなきゃ大丈夫。2ヶ月なんてあっという間だよ。」 と口癖のように言っていた。 「検問とかで止められたらどうするんすか?」 「そん時には、この秘密兵器がある。」 竹村はニヤリと口元に笑みを浮かべて、スーツの内ポケットから免許証を取り出して見せた。
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