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激しい戦争が後の時代。
この美しい町、美しく聳え立つ灯台、青くキラキラ輝く海、砂浜は全て戦争で勝った相手側の物となってしまった。
しかし、人々は喜んだ。
憎き戦争が終わったことに喜び、そして、その喜びを共に分かち合った。
もう、大切な、たった一つの命が失われる事も無くなった。
白く白く輝く砂浜で一組のカップルが手を繋いで海沿いを歩いていた。
白いワンピースを何も問題なく着こなす女性。栗色の長く綺麗に整えられた髪、美しく風に靡く髪。周りの男たちは絶対放っておかないだらう、この美しさには。
その横にはその女性には不似合いのように見える服装。白い白衣を着ている。顔はまだ、良い方だろう。が、しかし、寝癖がよく目立っており良い顔が台無しだ。
「なぁ、ソナ。」
白衣の男は彼女の手を強く握りしめた。
女性はその手をそっと握り返し
「何?カルタ?」
高身長の隣の彼を見上げた。
すると、彼は顔を赤くし恥ずかしそうにチロリと自分を見上げるソナを横目にし
「一生大切にすりゅから」
大切な所で噛んでしまった彼は、寝癖だらけの頭をガリガリとかき揚げ咳払いをした。
そんな彼が可愛らしく見えたソナは寝癖だらけの頭を優しく撫でた。
「うん、一生大切にしてね、カルタ…。」
天使のような笑みをカルタに向けた。
約二週間前、ソナはカルタに結婚しようと告げられたのだった。その時の彼はつい先程と同じように噛みまくりだった。
そして、現在、結婚を一週間前に控えてるのだった。
「あぁ…。」
そう言い、小さなソナの体を自分の胸に抱き寄せた。
ソナは白く細い腕を彼の腰にそっと回し彼の胸板に顔を埋めた。 彼らの耳には互いの激しく打つ心臓の音しか聞こえなかった
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