beginning of bell

3/7
前へ
/39ページ
次へ
苛ついて頭をかきむしる彼と彼女の関係性? 見れば分かる。 少なくとも相思相愛ではない。 と、言うことはもちろん恋人同士ではないのだ。 その後も何度となく彼女に電話をかける。 プルル…プルル… 「ハイ。もしもしぃ~?」 その電話に彼女が出たのは20回目のcallの後だった。 何とも呑気な調子で彼女が出た。 それも彼の怒りを増幅させる。 「もしもしじゃねぇぞ!!お前、今何処にいるんだっ!!」 「ん~今帰るとこ」 「…どうせ男といるんだろ?今日は“いくら”もらったんだ?」 「司陽には関係ないでしょう?」 「あれだけ止めろと言っただろう!!もっと自分を大事にしろっ」 「ウルサイ。そんなお決まりの文句なんて聞き飽きた。」 ピッ!! 恋人じゃないとすると…会話の内容からして親子? それにしては2人の年齢差はさほどないように見える。 恋人でもない。 親子でもない。 とすると? 答えは簡単、繋がりの薄い腐り縁。 つまりは職場の同僚。 彼が38歳。 電話で“愛莉”(Airi)と呼ばれていた彼女が26歳。 年齢差はあれど気にならない程度だ。 そんな2人の仲がぎくしゃくしているのには訳があるのだが、それはゆっくり説明していこう。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加