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いざできてみると思わず尻込みしてしまう。
子どもが流産の危険性があり、仕事を休ませてほしいと予定外で急に休んだ先輩のことを思い出す。
まだ自分が上司じゃなかった頃に、自分の先輩が妊娠して、出て来ては休み、出て来ては休みを繰り返していた。
結局、そんな彼女に仕事を誰も回さなくなった。
妊娠したことのない若い女性社員はいい顔はしなかったし、男性社員は困っているだけで気遣ってるふりして腫れ物に触るような扱い。
経験者は両極端で「そんなぐらい平気、平気」と言う人もいれば、「大丈夫?無理しなくて良いからね?」とやたら心配する人に分かれて、なんだか幸せそうというよりは申し訳なさそうな、居心地の悪い顔をしていた。
つわりのひどかった人は、本人もつらいし周りもつらいし、トイレが使いにくかったのと、えづく度に今か今かと皆が身構えた。
最初は会社のコーヒーの匂いに始まり、最終的には本の糊やインクの匂いまでに敏感になるだけでなく、家の木の匂いですら吐き気を催して結局彼女は水も飲めなくなり3ヶ月近く入院した。
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