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この二人、元はリトルリーグでの知り合いで。
高校では同じチームでプレイしよう、と。
同じ高校に入ったまでは良かったが。
近隣の高校で唯一、存在した筈の『女子野球部』は無惨にも彼女達が入学した時には
名前だけとなっており。
以来、ひたすら。
自主練とポーカーを繰り返す毎日を送っていた。
「んー…そんなコトないよー」
自分の手番は終わったとばかりに、近くに放置してあった漫画本に手を伸ばす春香。
そんな春香の一挙手一投足を見ながら、
「…ちぇ。どうも勝負になりそうもないな…降りるよ」
自らの手札をオープンにして置く真。
その手。
かろうじて『8』のワンペアのみで、他の三枚はバラバラ。
「あー…じゃあ私の勝ちだねっ」
と、それまでのポーカーフェイスから一転、満面の笑みで
先に伏せた手札を開けていく春香。
その、開けられた手札は。
完全なブタ(何も揃ってない)だった。
「…また、やったね?春香」
ジト目で軽く睨む真を尻目に
「だって。変なとこで慎重なんだもの、真は」
そう言い放つ春香。
悪びれもせず。
リトルリーグで初めて知り合って。
野球では珍しい女の子同士、というコトもあって急速に仲良くなった二人は。
知り合った頃からずっと変わらないままで。
男子顔負けの身体能力を持ち事実リトルリーグではスタープレーヤーだったが、ここ一番では臆病になりがちな真と。
運動神経はさほどでも無いが、毛の生えたような強心臓ぶりでちょくちょく訪れるピンチを切り抜け続ける春香と。
ちょうど良いバランスのコンビでありつづけた…昔も今も。
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