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私は狭いアパートの自室で、仕事に行く準備をしていた。 午後7:30。 もう行かなくちゃ…… 叔父が経営しているコンビニで働いている。 今日はバイトの子が急に休みをとったので、助っ人として呼ばれた。 私は出掛ける前に、もう一度携帯を開いた。 『……悪いね。また例の人が来たらすぐ言ってね。今日は店にいるから』 叔父からのヘルプメール。 携帯を閉じると、ゆっくりとバッグにしまった。 自宅の玄関を出るのが怖い。 いつも少し時間がかかる。 勇気を出して、出して出してドアノブを握る。 手に汗をかいている。 唾を飲み込む。 全身に力が入り、硬直してしまう。 行かなくちゃ…… 胸の中で呟いて…… ―ガチャ… そう、それでいいの。 大丈夫、行けるから……
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