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「…どういうことですか」
「呼び戻すために決まってるじゃないの。ていうか小憎らしい話し方身につけたわね」
城の裏手にある王の箱庭と呼ばれる庭園に自分達はいた。
飄々と話すのは祖母に当たる女性だというが見るからに母より若い。
国の最高位の魔女というのは人間離れしているのだと勝手に解釈する。
「これは処世術です…じゃなくて、だからって『王危篤、早ク帰ラレタシ』ってもう少し内容考えて下さい」
「ほう。内容の割にはゆっくりきたのね、ある程度の予知はしてたんじゃないの?それに王は承諾済みよ」
「予知が間違ってたら死に目にあうことができないじゃないですか。まぁ予知通りでしたけど、もう少し内容を考えないと他国の者に見られたらどう…」
「母様」
そろそろ拉致が開かなさそうなので声をかけた。
すると祖母だという魔女がニンマリと笑う。
「これが孫ねー!」
がっつりと抱き着かれてもどうすればいいかわからず母を見た。
母は嬉しそうに笑っている。
「えっと…」
「アレの若い頃に似てるわねー」
ドクリと血が沸いた。
『アレ』…それは…
「孫」
祖母が指をパチンと鳴らすと頭の中に映像が広がる。
「その道をまっすぐいって二つ目の角を右に曲がる。そこから左に進み、右に曲がると中央鍛錬場がある。あんたがずっとやりたかったことだろう。私の知り合いが来るといってある。私の名を出せば入れるよ」
「え…」
「あんたの母親はこれからちょいと仕事だ。あんたの邪魔はないよ。勝利を願う…いきな」
背中を押され走り出す。
目指すは顔も知らぬ父のもと。
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