よわりめのいとしきみへ

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入口にいた衛兵に案内され、中に入ると数百の兵が鍛錬に励んでいるのを見下ろせた。 中央鍛錬場ということは他にも鍛錬場が存在するということか。 さすが大国だ。 今まで見た国々とは規模が違う。 徐々に下へとおりていくと、激しい怒声が耳に届いた。 剣を構えた兵を前に剣も抜かず、体術だけで立ち向かう男の姿が酷く目を引く。 「次…なんだ、もういないのか」 くたびれる兵士を目にし、呆れた様子ではあるが、険のある瞳が一変して優しい色に変わった。 慕われているのだろう。 口々に言葉が行き交う。 「私と手合わせしていただけないでしょうか」 気付けば思わず声をあげていた。 「…君は?あぁ母の客人か。聞いているよ。こんな所を見たいなんで変わり者だと思ったが君も武人かい?誰と手合わせしたい?こう見えても今いる奴らは強者ばかりで…」 「貴方と」 強くまっすぐ思いを伝える。 「レイアード=ロイン=ソレイユ様とお見受け致します。今は私の名は明かせませんがお手合わせ頂いた後はきちんとお伝え致します。無礼を承知の上でどうか願いを聞き届けていただけないでしょうか」 「…君の主は王の友人だとも聞いている。なんらかの事情で名を明かせない従者は多いからね、気にしないよ。私でよければお相手いたしましょう」 やっと、やっと願いが叶う。 今この時をこの十余年どれ程願っただろう。  
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