よわりめのいとしきみへ

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鋭い音、激しい金属音。 いける。 これなら… 強い力で互いに後ろへと大きく飛んだ。 「すみません」 息一つ切らした様子なく相手は微笑む。 「若いので少し侮っていました。この無礼を許して頂けるだろうか」 そういって姿勢を正したと思うと仕切り直すように剣を鞘に納めた。 「本気で行きますよ、従者殿」 空気が、違う。 再び剣に手を触れた瞬間、恐怖を感じた。 ヤバイ。 どちらかと言えば優勢であったのから一変。 攻撃を受け流すので精一杯となり、だんだんと圧されだした。 このままでは負けると力めば力むほど勝敗は負けへと近付く。 強い。 こんな人が俺の… 『止めー!!』 明かに魔法で拡声したと思われる大声にピタリと剣が止まった。 一番自分にとってヤバイ人物が沢山の人を引き連れてこちらに向かってくる。 「ロイン=マクシミリアム!貴方はどうして大人しくしていられないのですか。目を離すとすぐ何かしでかして…」 「いや…これは…」 知らないうちに礼装に着替えていた母は頭一つ以上違う背丈の自分に迫り睨みつけてきた。 「これはじゃありません。言い訳は結構。だいたいね、貴方は落ち着きが…」 「…アイリス」 ポソリと漏れたか細い声。 母はゆっくりと振り返り、声の主を見据えた。  
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