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苦笑気味の母はただ彼を見た。
ギャラリーは面白そうに二人を見守っている。
「…まだ公開処刑されるほうがましだな」
ため息とともに呟くと顔を片手で覆いながら空を仰いだ。
そして姿勢を正すと彼は母へと向き直る。
「俺が戦地から戻ったらいうつもりだったんだが、かなりの年月を言えず仕舞いだったよ…結婚しようか」
「…はい」
わーっという歓声とともに兵士から野次が飛び、偉そうな人達の数名は婚儀の手配に動く様子が見られた。
この二人はとても慕われていることがわかる。
そんな様子だった。
ただ、母が今までで1番綺麗に見えて少し寂しく思えた。
「よかったよかった。丸く収まったわねー」
「本当に。大団円とでもいえますか」
この少し後にしることになるのだが、祖母に抱きしめられたままの自分の頭を撫でる男性はこの国の王様だ。
「…結局お袋の抱いているその子は?」
「あんたの息子」
「因みに俺が名付け親」
ポカーンとした彼…いや、父は自分の後ろと隣の人物を交互にみてから母をみた。
「ロイン=マクシミリアム=ソレイユ。簡易的にだけど王から書面で名付けの儀をしていただいた列記とした貴方の子です」
じっと俺を見てただ嬉しそうな顔をする父にどう親子として接していいのかわからず硬直する。
「…聞きたいことは山ほどある。一つずつ教えてくれないか」
「えぇ。もちろん」
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